『戦後ニッポン犯罪史』の下山事件の部分でこの本のことが触れられていたので読んでみました。昭和30年発行の古い文献です。
共同通信社会部次長の松尾義雄氏による「警視庁の内幕」という章で、下山事件自殺発表中止にまつわる警視庁、政府、GHQそれぞれの思惑などが書かれています。共同通信社会部というと、他殺説の斎藤茂男氏を思い出しますが、筆者の松尾氏は自殺だと考えており、「(下山事件は)都合によりハッキリしなかったのだというほかない。ハッキリしなければならない時期に、横槍が入ったためその時期を失ったというのが真相である」と述べています。松尾氏によると、「捜査一課の徹底的な捜査の結果、自殺である可能性が非常に高く、しばらく捜査を継続しても(これは二課の捜査のことだと思います)何も出てこなかった場合には、自殺を警視庁内部の統一的な結論としようということになった。しかし、GHQと、その威をかりた日本政府によって、警視庁が単独で自殺という結論を新聞に発表したり、自殺を断言するのは慎むように条件が付けられた」ということのようです。その後いわゆる「下山白書」が流出し、「自殺説が流布すれば喜ぶのは共産党のみ」とGHQは激怒し、警視総監田中氏や刑事部長坂本氏は叱責され、官房長官増田氏からも吊るし上げられたということです。この一件で捜査一課長堀崎氏らが訓戒処分を受けています。
ちなみに「G・H・Qの奥座敷」という下山事件とは直接関係のない章では、下山事件でもおなじみのウィロビー少将やプリアム大佐の写真があります。下山事件関連文献に名前が出てきているか、当ブログ管理人の記憶が定かではありませんが、その他ではホイットニー少将、マーカット少将、バンカー大佐の写真も見ることができます。

- 2008/04/23(水) |
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