今回は
「法医学論争(11) 死後轢断鑑定の妥当性の検討−その2 北大錫谷徹氏による下山事件再考」と
「胸腹部を扁平化する外力」の補足説明です。
『死の法医学』の錫谷氏の説は、成傷体(下山事件の場合列車)と成傷機序を検討しているという点で、古畑氏、中館氏、小宮氏らの考えとは異なっています。錫谷氏によると、成傷体を考慮に入れながら成傷機序を考察するというのは、法医学の鉄則であり基本だそうですが、言われてみると法医学論争に関わった法医学者は、ほとんど死体のみを見ているだけで、誰も成傷体には注意を向けていなかったことが分かります。古畑氏も「肋骨はほとんど圧しつぶされたように折れており、心臓は左胸部から右胸部に転位していた」、「胸部は強く圧迫されて肋骨が折れており」、「お腹も切れて臓器が飛び出している」という死体所見を把握しつつも、成傷体から成傷機序を説明するという試みはしませんでした(『今だから話そう』p216、『資料・下山事件』p208、『犯罪の科学』p64)。
既に以前のエントリで述べたように、錫谷氏の結論は、「轢断時に下山氏は立位であり、胸腹部と台枠前端梁との衝突による心臓離断が死因」というものですが、以前のエントリでは文章のみで列車の構造が分かりにくかったと思います。ですので今回は『死の法医学』の列車の絵を改変して作りました。下図を参考にしてください。赤く塗られているのが下山氏の胸腹部と衝突したと考えられる部分です。身長174センチの下山氏の胸腹部の高さにあります。

- 2008/04/22(火) |
- 法医学論争
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