管理者が『「藪の中」の死体』の下山事件関連の章を読んで思うのは、著者が資料収集をちゃんとしていないのではないかということです。「法医学的に分析しようとする私にとっては、少しでも死体所見などの医学的情報が欲しいのである」と資料不足を嘆いていますが、法医学に関して参考にしたのはどうやら矢田氏の『謀殺 下山事件』と、古畑氏の『今だから話そう』だけのようです。少なくとも解剖所見をある程度詳しく紹介している『下山事件全研究』、『資料・下山事件』、さらに上野氏の同業者である法医学者の錫谷徹氏が書いた『死の法医学』を読んでいないことは確かなように思われます。上野氏の結論が他殺なのは
「法医学論争(12) 死後轢断鑑定の妥当性の検討−その3 現代の法医学から見た下山事件」で述べたとおりですが、線路上に謎の血痕が多数あった、犯人がそんな手の込んだことをするはずがない、という理由で失血死説は否定しています。理由がこのふたつだけなのを見ても、『資料・下山事件』等の資料にあたっていないらしいのが分かります。それに加えこの本は下山事件そのものの紹介部分がとても多く(李中煥、5.19下山缶、目撃情報、怪電話、下山氏の失踪直前の奇行、などなど)、法医学に絞った考察を期待していた管理者としてはがっかりさせられました。
- 2008/03/21(金) |
- 下山事件関連書籍
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