轢断現場下手で無数の血痕群が発見されましたが、血痕の形からは進行速度、方向、どの程度の高さから落ちたのかという情報を得ることができます(『血痕分析』p23-24)。下図は『血痕分析』p23の図を改変したものです。上段は静止した人や物から落ちた血痕の形で、右に行くにつれてより高い場所から落ちた場合を示しています。下段は矢印の方向に移動している途中に落ちた血痕の形で、血液が飛んでいく方向に向かって突起が形成されます。移動中に落ちた血痕の形は血液の量や衝撃の大小によって変化します。
『謀殺 下山事件』でも血痕の形を問題にしていますが(新風舎文庫版p170-171)、実際に血痕の血液型検査をした人たちは、そこまで分かるような状態ではなかったと述べているようです(『下山事件全研究』p561)。以前のエントリでも触れたように、血痕が古く、細かい形まで分からなかったのではないかと思われます。ちなみに、他殺の線で捜査をしていた捜査二課二係長、吉武辰男氏は後になってこの血痕群について次のように述べています。「血痕問題ね。騒ぎになったときは、これは大変だと思いましたがね。結局さいごのところで下山さんのとちがっちゃったんですよ。あとで問題となった油とおんなじでした。結局、下山事件というのは、追っても追っても、少しも他殺のにおいのしてこない事件でしたね」(『下山・三鷹・松川事件と日本共産党』p79)。

- 2008/04/26(土) |
- 血痕
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