線路とロープ小屋で採取された血痕の鑑定が進むなか、やはり下山氏本人の血液型を正確に把握しておくことが重要だということになりました。下山氏の血液型はAMQ型だとされていますが、それはどういういきさつで判明したのでしょうか。『謀殺 下山事件(新風舎文庫版)』を見てみると、まずメンデル遺伝学を援用し、70パーセントの確率でAMQ型であろうというところまで突き止めています(p176)。次にやはり実際の血液を使って血液型特定を試みようとしたわけですが、血液が残っておらず、総裁の腸が保存されていたガラスつぼのふたに付いていた少量の血液をなんとか見つけ出し、MN式の検査のみをおこない、Mと判定しています(p179-180)。
この部分の記述を初めて読んだとき、当ブログ管理人は違和感を覚えました。何故、司法解剖がおこなわれた東大で上記のような間接的な方法や、やっとのことで見つけてきた血液を用いて血液型を調べるのか、いくら死体に血液があまり残っていなかったとはいえ、まったく採取できないほどではなかっただろう、ということです。そして事実、東大には司法解剖の際に採取された80ccの保存血液があったというのです(『下山事件全研究』p416、『資料・下山事件』p293、『真実を追う』p46)。80ccといえば、血液型鑑定には十分な量と思われます。にもかかわらず、なぜ線路上の血痕の鑑定作業時までに下山氏の正確な血液型が判っていなかったのでしょうか?
次は血液型鑑定の詳細を見てみます。
- 2008/03/15(土) |
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この本の新しいところは、捜査一課で下山事件にリアルタイムで係わった刑事たち(金井岩雄氏、杣良男氏)にインタビューし、彼らが他殺という推定(捜査が始まる前の捜査一課員の多くは他殺だろうと踏んでいました)から自殺の結論に至るまでの捜査と思考の筋道を丁寧に辿っているという点であって、烏麦だけが決め手でもありませんし、またそれを新情報のように書いてもありません(
「諸永裕司氏のこと」参照)。したがって、なにか特に新しい証拠や証言が出てくるわけではないのですが、陰謀に加担したと考えられがちな捜査一課の刑事たちが血の通った人間として登場し、彼らの思考経路を辿れるという意味で貴重な文献と言えます。ただ、他殺に違いないと思っている人が読むと退屈かも知れません。管理者も他殺の可能性が高いと思っていた頃に読んだとしたら、退屈極まりないと感じたでしょう。
- 2008/03/15(土) |
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